轻松读懂日语经典作品
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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1930(昭和5)年7月~1931(昭和6)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 页
そしてね、『一』と大きく書いた下に、急にお話したいことあり、明日必ず御出で下さい。とあなたの手で書いてありましたわ。で、妙子さんの御見舞を兼ねて、やって来たのじゃありませんか。おどかしちゃいやですわ」
「おどかすもんか。それは偽手紙なんだ。僕の手を真似て、あいつが書いたのだ。あいつは何だって出来ないことはないのだからね」
「彼奴って?」
「あいつさ。七尺以上の大男で、笛の巧い……」
と云いさして、二郎はふと黙ってしまった。彼の顔に見る見る恐怖の表情が浮んだ。目は木立を通して、五六間の向うを凝視している。
洋子もびっくりして、二郎の視線をたどると、木立越しに、ゆっくりと歩いて行く、一人の人物を発見した。
「あれ誰?」
「シッ」
二郎は手真似で制して、その人物が彼方に去って行くのを待った。そして、その影が見えなくなると、やっと安心して、洋子の問いに答えた。
「近頃雇入れた、庭掃除の爺やで音吉というのだ」
「あの人、さっき門の所で逢いました。叮嚀におじぎしてましたわ」
「あいつ、僕達の話を立聞きしていたのかも知れない」
「でも、あの人に聞かれては、いけませんの?」
「イヤ、そういう訳でもないが」