轻松读懂日语经典作品
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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
少しトランクに重みをつける必要があったものだからね」
「重みですって?」
「ああ、ちょうど人間一人の重味をね。石ころをつめるなんて気がきかないようだけれど、おぼえて、おきなさい、これだとあとの始末が楽なのよ。石ころは窓のそとの地面へほうり出しておけばいいし、ボロ布はベッドのクッションと敷蒲団のあいだへ敷きこんでしまえば、トランクをからっぽにしても、あとになんにも残らないっていうわけさ。ここいらが魔法使いのコツだわ」
「へええ、なるほどねえ。だが、トランクをからっぽにして、何を入れようっていうんです」
「ホホホホホ、天勝だって、トランクに入れるものはたいていきまっているじゃないの。まあいいから、石ころの始末を手伝いなさいよ」
彼らの部屋はホテルの奥まった階下にあったので、窓のそとは人目のない狭い中庭になっていて、そこに大つぶな砂利がしいてあった。石ころを投げ出すにはおあつらえ向きだ。二人は急いで石ころをほうり出し、ボロ布の始末をした。
「さあ、これですっかりからっぽになってしまった。じゃあ、これから魔法のトランクの使いみちを教えてあげましょうか」
緑川夫人は、面くらっている潤ちゃんを、おかしそうに眺めたが、手早くドアに鍵をかけ、窓のブラインドをおろして、そとからすき見のできないようにしておいて、いきなり黒ずくめのドレス