轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
「警察に報告するのは、そんなに急ぐことはありません。それよりも、少し僕に考えさせてください。僕は大へんな思いちがいをしていたのです」
明智は岩瀬氏に取りあおうともせず、そこに突っ立ったまま、のんき千万にも、何かしら考えごとをはじめた。
「明智さん、あんたはわたしの娘のことは考えてくださらんのか。あんなに固く引き受けておきながら……」
明智の解しがたい態度に、岩瀬氏の怒りがますます高じて行くのは無理もないことであった。
「ホホホホホ、岩瀬さん、明智さんはね、お嬢さんのことなんかお考えになる余裕がありませんのよ」
いつの間にか寝室から居間の方へはいってきた緑川夫人のほがらかな声が聞こえた。
「え、え、なんとおっしゃる」
岩瀬氏があっけにとられる。
「明智さん、いまお考えになってること当てて見ましょうか。私との賭けのこと、ね、そうでしょう。ホホホホホホ」
女賊は今や名探偵への敵意をあらわにして、大胆不敵の態度を示した。
「岩瀬さん、明智さんはあたしと賭けをなさいましたの。素人探偵という職業をお賭けなさいましたのよ。そして、とうとう明智さんの負けときまったものですから、あんなにうなだれて考えこんでいらっしゃるのですわ。