轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
「日の出 第三巻第一号―第十二号」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,633 字 · 215 页
を遠巻にして、事あらばわれ一番に駈けつけんものと、手ぐすね引いて待ちかまえていた。
早苗さんは部屋にとじこもったまま、一歩も外出しなかった。時たま庭園を散歩するのにも、必ず明智なり書生なりが付きそっていた。
いかな魔術師の「黒トカゲ」でも、これでは手も足も出ないにちがいない。それかあらぬか、早苗さんたちが本邸に帰ってから、もう半月ほども経過したけれど、女賊のけはいは全く感じられなかった。
「わしはどうやら臆病すぎたようだわい。あいつのおどし文句をまに受けたのは、ちとおとなげなかったかもしれんて。それとも、あいつは、こちらの用意を知って、とても手出しができないとあきらめてしまったのだろうか」
岩瀬氏はだんだんそんなふうに考えるようになった。
だが、賊の方の心配が薄らぐと、今度は娘のことが心がかりになり出した。
「わしの用心はちと手きびし過ぎたかもしれない。娘を座敷牢へなどとじこめるようにしておいたのがいけなかったかもしれない。それでなくてもビクビクしている娘を、一そうおじけさせてしまった。あれのこの頃の様子はまるで人が変ったようだ。青い顔をしてふさぎこんでばかりいる。