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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁
唖との交渉はとめやに限ると主人夫婦は云うた。馬鈴薯を買うて来ることを巳代公に頼むと云って、とめやが鍬で地を掘る真似をして、指で円いものを拵えて見せて、口にあてゝ食うさまをして、東を指し北を指し、巳代公が頷いたと云って納まって居ると、巳代公は一時間経っても二時間経ってもやって来ぬので、往って見ると自分の事をして居たので、始めてとめやの早合点、巳代公が分からずに居た事が分かって、一同大笑いしたことがある。兎に角彼女の無我にして骨身を惜まぬ快活の奉仕は、主人夫婦の急激な境遇変化に伴う寂寥と不安とを如何ばかり慰めたか知れぬ。移転の騒ぎも一型ついて、日々の生活もほゞ軌道に入ったので、彼女は泣く/\東京に帰った。妻も後影を見送って泣いた。
三月の末東京に帰って、五月中また苺など持って訪ねて来た。翌年丁度引越しの一周年に、彼女はまた手土産を持って訪ねてくれた。去年帰西して、昨日江州から上京したばかりだと云った。四日程逗留して、台所をしたり、裁縫を手伝ったり、折から不元気で居た妻を一方ならず助けて往った。其翌年の春、彼女は同郷の者で姓も同じく商売も兄のと似寄った男に縁づいたことを知らして来た。