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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁
三
最早詮方は無い。此まゝにして置けば、隣家は宥してくれもしようが、必何処かで殺さるゝに違いない。折も好し、甲州の赤沢君が来たので、甲州に連れて往ってもらうことにした。白の主人は夏の朝早く起きて、赤沢君を送りかた/″\、白を荻窪の停車場まで牽いて往った。千歳村に越した年の春もろうて来て、この八月まで、約一年半白は主人夫妻と共に居たのであった。主婦は八幡下まで送りに来て、涙を流して白に別れた。田圃を通って、雑木山に入る岐れ道まで来た時、主人は白を抱き上げて八幡下に立って遙に目送して居る主婦に最後の告別をさせた。白は屠所の羊の歩みで、牽かれてようやく跟いて来た。停車場前の茶屋で、駄菓子を買うてやったが、白は食おうともしなかった。貨物車の犬箱の中に入れられて、飯がわりの駄菓子を入れてやったのを見むきもせず、ベソをかきながら白は甲州へ往ってしもうた。
三
最初の甲州だよりは、白が赤沢君に牽かれて無事に其家に着いた事を報じた。第二信は、ある日白が縄をぬけて、赤沢君の家から約四里甲府の停車場まで帰路を探がしたと云う事を報じた。然し甲府からは汽車である。甲府から東へは帰り様がなかった。