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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁
四
覗いて見ると、小川の水は何処へ潜ったのか、窪い水道だけ乾いたまゝに残される。
四
谷の向う正面は、雑木林、小杉林、畑などの入り乱れた北向きの傾斜である。此頃は其筋の取締も厳重になったが、彼が引越して来た当座は、まだ賭博が流行して、寒い夜向うの雑木林に不思議の火を見ることもあった。其火を見ぬ様になったはよいが、真正面に彼が七本松と名づけて愛でゝ居た赤松が、大分伐られたのは、惜しかった。此等の傾斜を南に上りつめた丘の頂は、隣字の廻沢である。雑木林に家がホノ見え、杉の森に寺が隠れ、此程並木の櫟を伐ったので、畑の一部も街道も見える。彼が粕谷に住んだ六年の間に、目通りに木羽葺が一軒、麦藁葺が一軒出来た。最初はけば/\しい新屋根が気障に見えたが、数年の風日は一を燻んだ紫に、一を淡褐色にして、あたりの景色としっくり調和して見せた。此丘を甲州街道の滝阪から分岐して青山へ行く青山街道が西から東へと這って居る。青山に出るまでには大きな阪の二つもあるので、甲州街道の十分の一も往来は無いが、街道は街道である。肥車が通う。馬士が歌うて荷馬車を牽いて通る。自転車が鈴を鳴らして行く。