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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

今、ふっと、もう二度と、江戸は、見られんというような気がした」

斉彬は微笑して

「牧の呪いかも知れん、ははは」

と、笑った。

「そういう噂も、ござりますが――」

勝も、微笑して

「西洋科学にも、こればかりは、ござりますまい」

「牧も、英才であったが、身を誤った」

斉彬が、呟いた。庭に、人影が動いて

「恐れながら――」

斉彬が見ると、庭番が、蹲っていた。

斉彬が、頷くと

「お国許より、急使でござります」

「通せ」

「書状を、持参致しましたが――」

斉彬が、手を出すと、庭番は、廊下から、手を延した。勝が、取次いで、斉彬に渡した。

庭番は、去ろうとした。斉彬は、手紙の封を切りながら

「休息させてやれ」

と、その後姿へ、声をかけた。

「それでは、これにて――」

勝が、膝を動かすと

「暫く――この状に、何んな珍聞があろうも知れん。又、イギリス船が、来襲したとか――」

と、云いつつ、封を切って、眼を当てると、微笑が、すぐに消えてしまった。勝は

(何か、大事だな)

と、思いながら、日の丸の旗の翻っているのを眺めて

(水戸、越前、土佐、それぞれに、大名中の人物にちがいはないが、この公とは段がちがう。