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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

一人が

「女、童の知ることならず」

と、台詞もどきに云って

「行かずばなるまい」

益満は、手紙を、引きとって、巻き納めながら

「調所の残しておいた金が、かようの役に立とうとは、不思議なものじゃ。一つ、京へ上って、四五千両せしめて来るか」

そう云いながら、手を延して、付木をとって、煙草盆の火をうつすと、手紙の端へ、火をつけた。

「ああ、今、そんなことをしては、髪が、大変――」

と、云って、富士春は、片手で、髪を押えながら、片手で、鏡台を、左へやって、二三尺も、避けて、頭の上で、片手を振った。

「俺も、同じようなことを考えていた。こんなことを考えるのは、俺のような乱暴者ばかりかと思っていたが、人間の考えというものは、一刻早いか、遅いかだ、のう。俺が、これを始めたなら、幾人、俺もそう考えていた、という奴があるかしれん」

益満は、手紙の灰を見ながらいった。

「何かい、商売でも、あるのかえ」

「うむ」

一人が

「姐御、って、商売だ」

と、いうと、富士春が、振向いて

「いいねえ」

と、笑った。益満が

「明日にも立とう」

「立とう、とは?」

「上方へ」

「ええ?」

富士春は、周章てて、肩を入れて、襟を直しながら