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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

奥の間に、人影が動いたので、人々が一斉に見た。だが、それは、婆が立つ姿であった。が、すぐ婆の後方に――白い髯が、玄白斎が、独りで、ずかずかと出て来た。土間に立っている山内が、睨みつけているのを、平然と、横にして、狭い表の間――駄菓子だの、果物だの、草鞋、付木、燧石、そんなものを、埃と一緒に積み上げてあるところへ来て、立ったまま

「貴島、斎木」

と、呼んだ。

「老先生、御壮健に拝します」

二人は、御叩頭をした。

「牧は?」

「はい」

飽津が、玄白斎の前へ行った。

「加治木老先生、拙者は、島津豊後、用人、飽津平八と申します。牧殿は、大任を仰せつけられて、連日の修法を遊ばされ、只今御疲労にて、よく、御眠み中でござります。御用の趣き、某代って、承わりましょうが、御用向きは?」

「いや、御丁寧な御挨拶にて、痛み入る。余人には語れぬ用向きでのう」

「ははあ」

飽津が、何かつづけようとした瞬間、玄白斎が

「牧っ、出いっ」

と、大声で、呼んだ。

「玄白じゃっ」

土間の、山内が、刀へ手をかけて、つかつかと、近づいた。斎木が、眼と、手とで押えて

「老先生っ」

と、叫んだ時、駕の中から