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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

このことは、よく、説いた筈じゃ。牧」

高木と、和田とは、刀を引寄せながら、黙って、俯向いていた。牧は、眼を閉じたまま、身動きもしなかった。玄白斎は、すぐ、言葉をつづけた。

高木と、和田とは、何う、牧が答えるか、じっと――身体中を引締めていた。表の人々は、一人残らず、こっちを眺めていた。山内は、上り口で、いつでも、駈け上れる用意をしていた。

「斉彬公を――いや、斉彬公を調伏せんにしても、所詮は、久光殿を、お世継にしようとする大方の肚であろう。藩論より考えると、これが大勢じゃ。然し、よし、これが大勢にしても、寛之助様を、お失い申すことは、不義に相違ない。余人は知らず、兵道家としては、久光殿と、寛之助様とを、秤にかけて、一方がやや軽いからとて、不義は、不義じゃ、従うべきではない。牧、わしなら、皺腹を掻っ裁いて、上命に逆った罪をお詫びして死ぬぞ。これがよし、斉興公よりの御上意にしても、主君をしてその孫を失うの不義をなさしめて、黙視するとは、その罪、悪逆の極じゃ。諫めて容れられずんば死す。兵道に尚ぶところ、これ一つ、兵道家の心得としても、これ一つ。わしは、常々申したのう。