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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
左の方には、同じように石垣際に、一かたまりとなって、内部へ入れない軽輩が――それから、その人々の心の中には、斉彬の心が、いっぱいに――
吉之助は、磯浜を見、右を見、左を見て、赤い眼に、又涙をためた。だが、脣には、微笑を浮べて
「きっと、なせる。一蔵」
「なせる」
大久保一蔵は、そういってうなずくと、吉之助の手を握った。軽輩の総ては、同じ心で、磯浜を、桜島を眺めていた。桜島は、真直ぐに、煙を立てていた。
「京は、何んだか、ざわついていたが、江戸は、相変らず、のんびりしてらあ。今にも、黒船が来るように騒いでゃあがったが――富士春のところへ、又、ぽつぽつ、旗本が、三味の稽古に来ているってじゃねえか。一体、何うなるんだか――」
「何うにか、なるだろう。何うともしてくれってんだ」
庄吉は、南玉の方へ、肩を聳やかして
「おいらあ、これで、男の一分が立ったから、おさらばってことにして――一つ、仲間の奴へ、奉加帳を廻してさ、二三十集まったら、何か、こう小商売でもやらかそうかと思うんだが。何うでえ師匠」
「いい思案だ」
小太郎は、縁側で、膝を抱いて、柱に凭れていたが
「庄吉――わしも、商人になろうかと思う」