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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
だが、予想以上な日かずを費やされたのはぜひもない。
何しろ斯波家長らの追躡(尾行してくる攻撃)も執拗なので、鎌倉を横に見捨て、ひたむき、東海道を急いだが、ついにあの――箱根竹ノ下合戦には――間に合わなかった。
もし、それに間に合っていたなら、足柄山上から黄瀬川谷へかけ、尊氏の軍はそのとき限り時代の墳墓に埋没され去ッていたことであったろう。――時運の機微、寸秒の作用のふしぎ、それらをあとでかえりみれば、人意人力のほかに、また一つの、天意みたいなものがあるのを何としても否みきれない。
こうして、顕家の奥州軍は、年の瀬も正月もなく急いでいたが、都へ近づくほど、官軍方の聞えは悲風ばかりで、足利方の優勢は断然たるものがあり、一夜の宿陣も気が気ではなく、
みかどは如何なされし?
都の姿もどうなったか
と、奥州出発いらい、およそ二十八、九日めに、やっと近江愛知川の湖畔に着いた。いや着くやいな、戦旅の疲れも、鎧虱や泥土を払う暇もなく、
「船はないか。叡山はここから見えるが、瀬田、大津は敵の陣地だ。一刻も早く、これを彼方の行宮へ知らせたいが」
と、またはたとその連絡には当惑していた。