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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

日輪分裂

さてどんな今日一日になるであろうかを、すぐ思わずにいられない。

ゆうべはこの本船で、おそくまでの各船隊の船将会議。また陸上の直義からも夜ッぴて諜し合せの使いがくりかえされ、具足のまま、横になったのはもう明け近いころであった。

がばと、起きて。

四、五段の船そこ梯子から上に上半身を出す。とたんに、眼もとを顰めた。まだ海上はいちめんな狭霧だが、大きな旭日と、波映の揺れに、物みな虹色に燃えていたのである。

「お目ざめ!」

近侍たちは、彼のために、たちまち艫の一部にお嗽いの設けを置く。――尊氏はその小桶の水で顔を洗い、碗の水をふくんで海面へぱッと吐いた。

すると、すぐそばの一船上で、

「わはははは」

「あははは」

「ははは」

と、武者輩のさかんな笑い声だった。高ノ師直の部下だろうか。ひょうきんな男がいて、合戦開きの吉兆舞だとか言いながら、仲間の大勢に、道化た長柄踊りをして見せているところへ、お座船の艫に、尊氏のすがたを知ったので、あわてて船虫のように物蔭に隠れ込んだのを、大勢が笑いこけていたものだった。

「……?」

尊氏には、何のことだかわからなかった。しかしわからぬままに彼も笑っていた。