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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

河内鞠唄

「かたがた、このたびの遅延を、女色に溺れたためと、世上に風聞をたてられたなども不覚至極。……義貞の前には、尊氏があり申した。尊氏を討つのほか、何が今、男の意地にあり申そうか」

「出来された。それでこそ源家の嫡流を辱めぬ新田殿と申されよう」

「おだてめさるな。はははは。おさらば」

義貞は自分を待つ騎列の方へ、さっさと大股を返していた。

河内鞠唄

春の気象としては、とんでもない一ト晩だった。雷があばれ、大雨が翔け狂い、明けてみると、住吉の燈明台はまず無事でいたが、倒れた松の数は知れない。

こんな朝を、からくも漂い着いていた船もある。

大きいのはいずれ四国か西国船であろう。いまやこのへんは都の食糧輸送路として活溌な役をはたしていた。嘘みたいに、空は青く照りかがやき、余波のしぶきもまだ白い浦曲の諸所では、早や荷下ろしが始まっている。また、命びろいしたような態の旅人たちは、思い思いな方角へみな足早に散らばって行った。

「はてな」

これもその一人。木妻ノ辻のあたりまで来て、附近の新開地的な変り方に、雲水は驚いていた。

「いや、やっぱりここだ。戦とはさて皮肉なもの。都に焦土がふえる一方、ここらは逆に繁昌していたわけか」