輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
ほとんど、こっちの矢は一矢も役に立っていない。
「知れたものぞ」
「敵は小勢」
これは合い言葉みたいに菊池方ではくり返された。しかし矢ばかりでない、土砂も吹きつけてくる。みるまに、犠牲が積まれてゆく。――「ひとまず退け!」と退いたのもまたなおまずかった。敵の仁木義長、千葉大隅らの兵に追い打ちをかけられて、みるまに阿蘇惟成は負傷し、以下、数百の死傷をここの退路に出してしまった。
落日も薄れ、浜の手も野面もいつか暗かった。
陣ノ腰の高い所から形勢をみていた尊氏は、
「師直、師直っ」
と、左右の人影へむかって。
「浜の敵は逃げくずれ、松原の方面でも、味方は深追いに入った様子だが、まだまだ序戦だ、敵の死命を制するには足らん。――それに早や宵闇。――長追い無用と、味方を退かせろ。全面的に、引きあげさせろ」
「はっ」
と、高ノ師直は、すぐ旗本の数騎を、伝令に放ッた。
ほどなく、多々羅のおちこちで退貝の音が鳴った。――しかし、敵の逃げ足に釣られてつい箱崎あたりまでも深追いして行った味方が少なからずあったらしい。――すべての将士が引きあげ終るまでにはかなりの時間を要したし、なおまだ、貝を吹けども吹けども、ついに戻って来ない味方もある。