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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

御命令は、ひとまずお差しひかえになった」

どの顔も、眉をひらいた。が、それで終っていたのではない。

「――仰せには、先もいそがるるが、船出も慎重を期さねばならん。待つがよいか、すぐ出港が可か。ひとつ船頭会議をひらいて、彼らの意見にたださんとの御意。各※(二の字点、1-2-22)もそれに列座されよ」

師直は言い終ると、ただちに、船屋形の外から胴ノ間いっぱいに、兵の手で莚を敷かせた。上には、帆柱から支えばしらを渡し、苫や幕で雨除けの屋根を葺いた。

船頭会議とは、めずらしいことである。

このお座船にのりこんでいた串崎船頭の老練なのを初めとして。

千葉大隅守の船の船頭

大友、少弐の船にのっていた筑紫の船頭

厚東の船を操作してきた周防船の船頭

上杉伊豆守の「今度船」と称する舟軍――長門安武郡の椿ヶ浦の老船頭など……

みな、将軍の御前と聞かされ、何事かと畏れながら、船屋形の前にあつまった。

やがて尊氏から直々に、

「忌憚なく、思うがままを、申しのべよ。戦にかけては、われらが手馴れだが、海ばらでの“風見”“波見”はそのほうたちのほうが、多年の経験、われらよりは、はるかにすぐれた先達のはずだ。