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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
彼の姿を欠いた軍議は、とかく根本の方針までは立てえなかった。
「まず措こう。義助もまだ来ておらねば」
と、義貞は、やがて一おう軍議を打切った。
この兵庫へ入ったのは、昨二十三日のこと。加古川からは多くの負傷者をかかえ、悪天候には、はばまれ、秩序もなく、なだれこんだ形にすぎない。
ここを決戦場として、足利の海陸勢を迎え打ち、一挙に粉砕する。――とは、この退却を転進と称って、全軍を励ましていた合言葉だが、
「――さて今朝、ここにある総兵力は、どれほどか」
と、義貞がたずねたときには、諸将のたれからも、明確な答えは聞かれなかった。みな自分自分の部隊だけはほぼ兵数もつかんでいたが、総括的なこととなると、たれにもわからないのが、けさの実状なのだった。
そこで、
「さっそく数えあげよ」
と、義貞は、綿打ノ入道、里見義胤らにその奉行をいいつけ、それも、
「午までに」
と、時を限った。
こういうあいだにも、義貞は須磨方面にふみとどまっている脇屋義助の前線へむかって、伝令をとばしては、
「足利直義の陸兵はいま、どの辺まで来つつあるか。また尊氏の水軍は?」
と問わせたが、
「いずれも、まだ確かなるところは」