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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
花山院の旧内裏は、宏大なる広さだけに、なおのこと、以来の荒れかたもはなはだしく、鬼気をすらおぼえるような冷たさと暗さであった。
ここに、後醍醐は、その夜からおかれた。ほとんど監禁といっていいかたちである。
かしずきには、廉子と四、五人の女房がゆるされただけでしかない。男といえば、老蔵人すら遠い所の下屋へへだてられ、四門はかたくとざされ、近侍の公卿もみな、旧官舎のような建物のうちへ押しこめられた。――そして、門内門外には、戦時同様な恐らしき武者どもがかために充満していて、これは昼夜、焚火をかこんで、すき勝手な雑言や笑い声をあげていた。
なか三日ほどおいて。
尊氏は、東寺の営からこれへ、お見舞にといって、参上した。
が、後醍醐は、およろこびの色でなく、初めのほどは「ちと、すぐれぬと申して帰せ」と、いわれたがまた。「いや会おうか」と、お考え直しのふうで、彼を待たれた。
侍座の公卿の、ただ一人すら見えぬわびしい上ゲ畳に、胡坐し給うて、御衣もいと古びたままなお姿だが、しかし、かつての御威厳をすこしも卑屈にはしておられず、むしろ意識的に、それを崩すまいとしているお構えがどこやらになくもなかった。