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こどもふどき

こども風土記・母の手毬歌

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《こども風土記・母の手毬歌(こどもふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,761 字 · 278 頁

青空文庫

一五、遅い朝飯

そうして一仕事してきてから、かえって本ものの朝飯を食べるのであった。この団子の大きさはメロンほどもあって、材料は蕎麦・稗の粉、たまに土穂といって米の調整のときに、一番あとにのこった屑籾を粉に挽いたものもある。塩も入れないのが多いから決してうまい物でないが、若い者はよろこんでこれで空腹をみたしたのであった。この団子の名はどこへ行って聴いても、大ていはお茶の子であった。すなわちもとはお茶の相手に食べたものを、後にはお茶なしに、「子」だけ食べていたのである。

一五、遅い朝飯

このお茶の子ばかりは、じつはわたしなども食べて見ようという気にはなれなかった。それで旅からかえってその話をすると、もとは東京などの人はびっくりしたり、笑ったりしたものであった。しかしそういうのはもう歴史を忘れたので、前には江戸といった大きな都会でも、草こそは苅りに行かなかったけれども、やはり早朝にこのお茶の子を食っていたのである。その証拠としては何によらず、それくらいな仕事はいと容易だ、またはちっともこまらないというような場合に、朝飯前だともいえばまたお茶の子だともいっていた。すなわち二つの言葉は同じで、もと朝飯を食わぬうちに、お茶の子だけで、一仕事をしていた名残である。