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こどもふどき

こども風土記・母の手毬歌

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《こども風土記・母の手毬歌(こどもふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,761 字 · 278 頁

青空文庫

四、あれ見やれ向う見やれ

とのは丹波の助三さまよ……

というのと、

寺へさしゃげて手習させて……

という歌とは、文句は少しずつかわっていても、日本の東にも西にもあった。しかし、もう一つの「鎌倉の椿」というのだけは、その大和田氏の『歌謡類聚』の中にも、またほかの色々の本にも、そっくり同じというものがまだ出ていない。それがわたしには非常に興味深く、今でも感ぜずにはいられないのである。

四、あれ見やれ向う見やれ

母は自分でも娘のころというものが、大へんみじかかったといって歎いていた。そうであったろうと思うことは、たしか十四の年に兄ふたりと、つづいて母親とをうしなって急に家がさびしくなり、父と小さな妹とを世話しつつ、貧しい家計を立てていた。二十歳でわたしの家の人になるまえに、わずか一年ほど藩の大きな武家へ見習奉公に出て、朋輩も多かったということだから、そこの正月のあそびで学んだのかも知れぬが、多分はそれよりもずっとまえ、まだ十いくつの幸福な小娘だったころに、こういう手毬歌にむちゅうになっていたことがあるのであろう。ともかくも歌の言葉があまりに古風なものだから、何処でもそれを知っていた女たちは皆いなくなって、近年の採集にはもれたものと思われる。