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こどもふどき

こども風土記・母の手毬歌

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《こども風土記・母の手毬歌(こどもふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,761 字 · 278 頁

青空文庫

千艘や万艘

ところが昔の村の人たちなどは悠長で、そう大して気にもかけずに子どもにはいいたいことをいわせて、おかしいことをいえばただ笑って、古い仕来りの少しずつ変って行くのを、自然のままにまかせていたのだから面白い。おかげでまだ色々の昔が子供の間に残っている。

千艘や万艘

東北では正月の春田打ち、または田植と称する行事が、土地によっては今もまだ少年少女の領分である。

明きの方から早乙女が参った

といったり、または、

田人に来たよ 小苗ぶちが来いした

などといって、彼ら自身もなんのことだか知らずに、ただまわってあるけば餅が貰えるものだと思っている。それに相応の受け答えをして、心よく用意の餅を出して与えるのみか、それが来なくなるのをなんとなく淋しく思っている家もまだ多い。正月はもちろん田植の季節でないが、もとは一年のはじめに一通りそのわざを演じて、農作成功のまじないとする風があって、それには外部からこういって来る者のあることを、一つの瑞相として歓迎したのであった。ところが他の土地ではもうそのための職業団体ができたり、または貧しい人たちが顔を包んで、門に立ったりすることがはじまって、なんだか品の悪いものとして、親も学校も制止するようになり、子どもの正月の楽しみはまた一つ失われた。