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こどもふどき
こども風土記・母の手毬歌
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《こども風土記・母の手毬歌(こどもふどき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 142,761 字 · 278 頁
一三、経験と実験
現にこの時から百二十年の後、享保十二年の大火事の翌年にも、藁葺きの新築は禁止するというお触れがでており、そのまた次の年には、なるべく下地総塗りの家作、すなわち今いう土蔵造りを建てよという命令も発せられた。それにつけくわえて、「但し土留め迄に蠣殻さし置き候分は勝手次第」とあるから、屋根はまだ瓦ではなく、ただ板の上に土をのせて、火の用心にしていたのである。『塵塚談』という書物は、ちょうどこれから少し後に生まれた老人の、若いころの見聞をしるしたものだが、これには目抜きの大通りだけでなく、山の手端ばしの武家町家ともに、こけら葺きに蠣殻をのせた屋根がふつうだったと出ているから、ところどころには、まだ小さな藁屋だけはのこっていたのである。
一三、経験と実験
蠣の貝殻をのせた板屋根は、海近くの村へあそびに行って、見たことがあるという人は多かろう。あんなみすぼらしいものはないと、わたしなどは思っているのだが、それがこの東京都の、もっとも本式な屋根であった時代も一度はあり、さらにその一つ前には、これすらめずらしかった時代さえあるのである。やはり江戸の初期にできた『老人雑話』