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みみずのたわこと
みみずのたはこと
徳冨 健次郎
線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁
九
二月十八日勝郎
九
五月の初、お馨さんが髪と骨になって日本に帰って来た。お馨さんのカタミを連れ帰ったのは、日本に帰化した米国の女宣教師で、彼女は横須賀に永住して海軍々人の間に伝道し、葛城も久しく世話になって「母」と呼んで居た人で、お馨さんの病死の時は折よく紐育に居合わせ、始終万事の世話をしたのであった。
五月の四日、粕谷草堂の夫妻は鶴子を連れて、お馨さんの郷里に於ける葬式に列なるべく出かけた。両国の停車場で、彼等は古びた中折帽を阿弥陀にかぶった、咽喉に汚れた絹ハンカチを巻いた、金歯の光って眼の鋭い、癇癪持らしい顔をした外川先生と、強情できかぬ気らしい、日本人の彼等よりも却てヨリ好き日本語をつかうF女史に会った。
いつもの停車場で下りて、一同は車をつらねて彼丘の上の別荘に往って憩い、それから本宅に往った。お馨さんの父者人、母者人と三度目の対面をした。十二畳二間を打ぬいて、正面の床に遺髪と骨を納めた箱を安置し、昨日から来て葛城の姉さんが亡き義妹の為に作った花環をかざり、また藤なぞ生けてあった。お馨さんは自身の写真と云う写真を残らず破り棄てたそうで、目に見るべき其姿は残って居なかった。