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みみずのたわこと

みみずのたはこと

徳冨 健次郎

線上閱讀徳冨 健次郎《みみずのたはこと(みみずのたわこと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 265,437 字 · 530 頁

青空文庫

瀬の音がごう/\/\、ざあ/\ざあと川面一面に響く。

「好いなァ」思わず声をあげる。

船頭は軋々と櫓の響をさせて、ほゞ山形に宇治川を渡す。

「何て奇麗な水でしょう」妻は舷側の水を両手に掬い上げて川を讃める。鶴子が真似る。

平等院の岸近く細長い島がある。浮島と云うそうだ。島を蔽う枯葭の中から十三層の石輪塔が見える。

「あの塔は何かね、先には見かけなかった様だが」

「近頃掘り出したンどす。宝塔たら云うてナ、あんたはん」

と船頭が説明する。水は早し、川幅は一丁には越えぬ。惜しと思うまに渡してしまって、舟は平等院上手の岸についた。

舟賃を払うて、其処に三つ四つ設けられた茶店の前を過ぎて、美しい紅葉を拾いつゝ余等は平等院に入った。

嫩草山の夕

奈良は奠都千百年祭で、町は球燈、見せ物、人の顔と声とで一ぱいであった。往年泊った猿沢池の三景楼に往ったら、主が変って、名も新猫館と妙なものに化けて居る。うんざりしたが、思い直して、こゝに車を下りた。

茶一碗、直ぐ見物に出かける。

上方客、東京っ子、芸者、学生の団体、西洋人、生きた現代は歴史も懐古も詩も歌も蹂躙して、鹿も驚いた顔をして居る。