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さんごくし

三国志

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 頁

青空文庫

二

「おお。おいでですか!」

「どうか、お通りあって、ご随意にお会いくださいまし」

均は、そういうと、ただ長揖して、立ち去ってしまった。

張飛は見送って、

「案内にも立たず、勝手に会えとは、何たる非礼。小面の憎い青二才め」

と、何かにつけて、腹ばかり立てていた。

二

柴門を入って、園を少しすすむと、また、かたわらに風雅な内門が見える。

いつもは開いているそこの木戸が、今日のみは閉まっていた。ほとほと訪れて叩くと、墻の梅が繽紛とこぼれ落ちてくる。

「どなたですか」

内から開けて、顔をだしたのは、いつも取次に出る童子だった。

玄徳は、笑顔をたたえ、

「おお仙童。たびたび労をわずらわして、大儀ながら、先生に報じくれぬか。新野の玄徳が参ったと」

すると童子も、きょうは日頃とちがって、ことばつきまで丁寧に、

「はい。先生は家においでなさいますが、いま草堂で午睡していらっしゃいます。まだお眼ざめになりませんが」

「お午睡中か。……では、そのままにしておいて下さい」

そして関羽と張飛に、

「そち達は、内門の外に控えておれ。――お眼ざめになるまでしばしお待ちしよう」

と、独り静かに入って行った。