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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「へえ、そうかい、お嬢さんが――」

庄吉は、源公へこう云って、深雪の方を見た。深雪は、男達が、自分を、じろじろ眺め、噂をしているので、少しでも早く、出て行きたかった。

「では、御邪魔致しました」

深雪が、お叩頭をした時

「お嬢さん、一寸、仙波の小太さんを、お探しですかい」

「はい」

庄吉は、こう云ったまま、入口からさす薄曇りの光を、背に受けて、白々と浮き出している深雪の顔を、じっと、凝視めていたが

「あっしゃあ、お行方を存じていますんで」

「兄は、何ちらへ?」

「それがね――」

「おい、庄っ、おかしな考えを出すな」

「それが――一寸」

庄吉は、こういって立上った。そして、富士春のいるところへ来て

「訳ありで――話をせんと判りませんが――ええと、外は雨だし――然し、御案内旁々、お話し申しやしょう」

源公が

「庄公っ、よせったら」

「うるせえ、手前、そんなら、行方を知ってるか」

「そんなことあ――」

「知らなけりゃ引込んでろ」

庄吉は、土間へ降りた。

「お嬢さん、すみませんが、傘を一つ、差しかけて下さいませんか。手が、いけねえんで。済みませんが――つい、近所で――」

庄吉は、武家育ちの深雪の態度と、その美しさとに気押されて、軽い口をききながらも、眼は伏せていた。