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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「はい、もう、更けましたゆえ、お眠みなされませぬか」

「眼が冴えて、何んとなく胸苦しゅうて」

「妾も――」

「御無事であればよいが――」

「さっきから祈っていました」

「もしものことがあっても、取乱したり、悟られたりすまいぞ」

二人は、夜具の中で囁き合った。そして、二人とも叡山で斬込んだ武士は、夫と、兄とだと思っていた。だが、それを口へ出すことは恐ろしかった。そして、そう信じながら一方では、その二人でないようにと、祈っていた。

「百城が京から戻りよった。追っつけ参るであろう」

と、袋持が、いってから、一刻の余になった。二人は、百城が、何をいうか、聞きたいようでもあったし、聞くのが、恐ろしいようでもあった。

「遅い奴だの、何をしとるのか」

袋持が、膝を抱いて、床柱へ凭れた時、草履の音がした。袋持は、すぐ、膝から手を、床柱から背を放して

「百城か」

と、怒鳴った。

「おお、ようよう済んだ、一つ一つ、算盤玉に当られるので、手間取ってな」

庭から上って来た。袋持が、身体を延して、障子を開けた。

百城は、旅姿を改めたらしく、新しい着物に、袴をつけて

「待たれたか」

と、二人に、声をかけた。