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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
(叡山の上で、右へ、右へと叫んでいた声は、父でなかった。牧が、父を支えながら、叫んでいたのだった。敵ながら天晴れだ、と思ったが、この月丸も、若いが、えらい。討たれてやってもいい――しかし、自分の方が、優れていたなら、討ってもいい――いや、討つのには惜しい男だ。斉彬公は、きっと、惜しまれるにちがいない)
小太郎は、月丸を、長い間の親友のように感じてきた。
薄月の夜であった。河岸の枯柳は、黒く垂れていて、風は無かった。河水は、鈍く光っていた。高麗橋の橋詰には、夜番所があったから、少し行きすぎて、舟着場の端まで行った。
「この辺りなら――」
と、月丸が、振向いて、微笑した。
「結構」
「では、お支度を――」
二人は少し離れた。そして、襷をかけ、股立をとって、跣足になった。そして、刀を抜いて、目釘をしめした。小太郎は、刀を提げて
「某の流儀は、鏡心明智流を元として、一刀流を、いささか、学びましたが――」
と、声をかけた。二間程離れると、もう、はっきり、顔が、見えなかった。
「某は、国許の、薬丸流っきり――」
「薬丸なら、斬られても、一思いでござるな、ははははは」
「では――」