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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
その中には、旅に必要な品々が、入っていた。女の足音がして
「入りましても――」
と、聞いた。
「拙者は、祈祷のために、旅へ出る。いつ戻るか、判らぬから、お由羅殿が、お戻りになったら、左様申し伝えてもらいたい」
牧は、こう云って、脚絆を、足へ当てていた。
「では、お部屋様の、お戻りの先に」
「左様」
「お許しがござりませぬに、お出ましになりましては――」
「左様のことは、よろしい」
「はい」
「駕を二梃申しつけて、山内へ、早く支度をするようと、申してもらいたい」
「はい」
それ以上に云っても、答える牧ではなかった。女中が、去った。牧は、支度をしてから、部屋の中の品々を、それぞれのところへ片づけて、火鉢の灰の形までも、正しく、整えた。そして、じっと俯向いて、腕組したまま、いつまでも、坐っていた。
まんじ乱れ
髪を束ねて――いつの間にか、少し、やつれを見せ、身躾みの化粧も、この頃は、しなくなって――垢染みた着物に――それは、この長屋の人々と、同じようにまで、汚くなった深雪が、洗濯している手を止めて
「あっ」
と、いった。そして、立上って、眉を歪めて
「お兄様」
小太郎は、奉行所へ引かれた時と、同じ姿で――だが、いつの間にか、蒼白い顔になって