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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「斉彬様、御相続の儀、只今、閣老にて御内定になりましてござります」

牧は、頷いた。

「それに就きまして――」

「御苦労」

「将曹様より、御依頼の件――」

「判っております」

「はっ――外に――御用は?」

「無い」

使は、立上るより外に無かった。

「お暇仕ります」

牧は、返事もしないで、書物へ向った。侍が、去ってしまうと、手を延して、床の間から、算木の入った、白緞子で包んだ小函と、筮竹の包とを取った。そして、机の上へ、算木を陳べて、幾度か裏返したり、表へ向けたりしてから、筮竹を頂いて、数えてみた。幾度となく、同じことを繰返してから、暫く、瞑目した。そして、眼を開くと、立上って廊下へ出て

「山内」

と、叫んだ。

「はっ」

山内でない声の返事が聞えて、暫くすると、山内が

「御用で」

と、廊下へ現れた。酒気を帯びていた。牧は、ちらっと、それを見ると、眉をひそめたが

「旅支度を、すぐに――」

「旅に?」

「支度をすれば、よろしい」

牧は、こう云いすてて、部屋へ、入ってしまった。そして、違棚の上の、手函の中から、金包を出した。押入の中から、小さい、支那渡りの赤塗の、金具の光った箱を出した。