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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁

青空文庫

稀には、こんな茶うけも如何と思って』

蓋物の陶器をそこへ出した。開けてみると、醤油煮のごまめに赤い唐辛子が入っていた。

『ほウ、田作じゃぞ』

『なに田作』

と、一同が首をのばして、

『これは珍品』

『香ばしゅうて、なかなか美味い』

『辛い。――唐辛子を噛んでしもうた』

すると、そこが余り賑やかなので、上之間から、吉田忠左衛門が、

『伝右どの。どうもあなたは、若い者ばかりお好きで困る。ちとこちらへも、話しにお出で下され』

『いや、これは失礼』

早速、田作の蓋物を持って立ったので、若い者は、思わず笑いこけた。

そこへ腰をすえていると又、下之間の若者組のうちから、

『伝右どの、又、面白い話が出ましたぞ。こんどのは、惚気でなくて、艶聞です。――この中で一番若うて、随一の美男の磯貝十郎左が、ゆうべ源五右衛門殿に、寝言を聞かれたそうでござる』

早水藤左衛門が云った。

その口を、側から抑えて、美男の十郎左が、

『嘘を仰せられい。伝右どの、冗戯でござります』

源五右衛門が、興がって、

『あいや、冗戯ではありませぬ。聞いたのは某、嘘言は云わぬ』

『ははははは、衆寡敵せずかな。十郎左どのの容姿では、その沙汰も信ぜられる。