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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

「また、おはこかい、ばかばかしい」外出のことを思いだして、「奥さまがお待ちかねだ、ゆるゆるしちゃいられないよ」

「それじゃ、山田さんか」

「どこでもいいじゃないか」お鶴の方を見て、「それじゃ、お鶴往ってくるからね、ついすると遅くなるかも判らないよ」

お鶴は起って衣服を被かえていた。

「いいよ」

「おまえは、遅い」

「わたしも奥さんのつごうで、どうなるか判らないよ、解き物があると云ってらしたから」

「そうかい、それじゃ往くがいい」

お杉はそのまま一方の襖を啓けて姿を消して往った。そして、何か云っていたがすぐ聞えなくなった。長吉は傍におろしてあった土瓶をそっと執って火鉢にかけた。

「人間は、あまりあこぎを云うものじゃねえや」

長吉は厭なものを吐きだすように云ってから口をつぐんだ。短冊のような型のある緋い昼夜帯を見せたお鶴が、小料亭の婢のような恰好をして入って来た。

「お父さん、往って来るよ」

長吉はびっくりしたように顔をあげた。

「小栗さんか」

「そうよ」

お鶴もお杉の出て往った方から姿を消して往った。そして、十分位するとがたびしと云う音がして、二人の出て往った処から壮い男が這って来た。