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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁

青空文庫

いた。猿十郎の姉輪も巧かった。わたしは午後から行ったので、午飯の弁当は呉れなかったが、夕方になって鮨を持って来た。それから果物も運んで来た。芝居の招待というものは相当の待遇をしてくれるものだと私は思った。

もう二幕ぐらいで閉場になるという頃に、背の高い、四十以上の垢抜けのした人が我々のところへ廻って来て、二十五銭ずつを集めていた。その時には何だか判らないので、わたしはただ言わるるままにその二十五銭を差出したが、あとで聞くと、それは祝儀として茶屋の帳場と若い衆とに遣るのであった。その日は桟敷を四間ほど打ちぬいて十五、六人の新聞記者が見物していたのであるから、一人から二十五銭ずつ徴収したのでは合計四円に足らないのであろうが、それでも若い衆が大勢つながってその礼を言いに来た。茶代をあつめて歩いたのは『演芸通信』の塩坂貞三郎という人であることを後に知った。芝居の終ったのは午後七時ごろで、わたしたちは武蔵屋へ帰って夕飯の膳に坐らせられた。そうして、出勤俳優の手拭二本を貰った。

新聞社に籍を置いたところで、自由にどこの劇場へでも出入りすることが出来るのではない。