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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
昔の新聞劇評家
わたしは今更のように時の力を思わずにはいられない。
昔の新聞劇評家
前に言った“時の力”――それは彼の人々の上ばかりでない、これを語るわたしの上にも強く流れているのは勿論であった。鴈治郎や左団次や、その人々の目ざましい発展を見るにつけて、わたしは自分の寂しい影を見返りたい。わたしはこの年の一月末から東京日日新聞社に出勤することになったのである。
その当時の東京日日新聞社長は関直彦氏で、わたしの父はかねて関氏を識っていた。ある時、父が関氏にむかって、わたしが芝居を書きたいと言っているという話をすると、関氏はひどく賛成してくれて、時々にわたしを遊びによこせとのことであった。そこでわたしは無遠慮に関氏の家へ押掛けてゆくと、氏はこころよく逢ってくれて、今後の劇界のことや、氏が洋行中に見物した外国の演劇の事などについて、いろいろ親切に話してくれた。関氏は福地桜痴居士の後をうけて日日新聞を経営していた関係上、すこぶる桜痴居士に私淑していたばかりでなく、かの“演劇改良会”の幹事か評議員かを勤めていたので、劇というものについて多大の趣味を有していたらしく、わたしが劇作家になるということを非常に賛成してくれたのであった。