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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁

青空文庫

鳥熊の芝居

こんなことを言うと、今の若い人たちは嘘だと思うかも知れないが、実際その頃に芝居見物などに行くものは、今日のいわゆる不良学生とかいうものと認められたらしい。

一方にそういう圧迫を受けながらも、わたしの芝居熱はだんだんに高まって行った。ほんとうの俳優の演ずる芝居というものは、定さんの茶番や大奴さんの踊りのたぐいでないということがはっきりと判って来た。しかしいつもいつも父や母の腰巾着で行くというわけにも行かないので、わたしは年相応に金のかからない芝居を見てあるくことを考え出した。

そのころ大芝居、即ち大劇場と認められていたのは、まず新富座を筆頭として、日本橋久松町の千歳座、浅草鳥越の中村座、浅草猿若町の市村座、本郷春木町の春木座、少しく下がって中芝居と認められたのは、本所相生町の寿座、四谷荒木町の桐座、日本橋蠣殻町の中島座の三座で、その他はみな小芝居であった。金のかからない芝居を見ようと思えば、小芝居へ行くほかはないので、わたしの足はだんだんに小芝居の方へ向かうようになった。

鳥熊の芝居

劇場に大小の区別をつけて、大劇場といい、小劇場というようになったのは、明治二十三年以後のことである。