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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁

青空文庫

狂言は学海居士作の「政党美談淑女操」という現代物で、その成績はさのみ悪くなかったが、どうも川上一派ほどには人気が引き立たなかったようであった。

それでも機運はだんだんに熟して来て、あくる二十五年の春、川上一派が猿若町の市村座に楯籠って、まず得意の「板垣君遭難実記」を上演し、つづいて熊本神風連騒動の「ダンナハイケナイワタシハテキズ」を上演した頃には、その評判がいよいよ高くなって、日ごろ彼らを外道視している好劇家も、それほど評判のものならば一度はどんなものか覗いてみようというようになって、毎興行大入りであった。わたしは五月なかばの雨の日に市村座へ出かけて「ダンナハイケナイ」の劇を見物したが、それは全くイケナイものであった。狂言といい演技といい、俗受け専門、場当たり専門、実にお話にもならないもので、わたしは苦々しいのを通り越して腹立たしくなった。それでも日曜のせいか、劇場は満員であった。かれらに対して俄かに一種の反感をもつようになったわたしは、あくる日出社すると直ぐに劇評を書いた。劇評と書かずにわざと激評と書いた。市村座激評の標題の通りに、わたしは川上の芝居を激烈に攻撃して、こんな芝居を喜んで見物している人間があるのを悲しむというようなことを書いた。