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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
初日はたしか二十五日頃であったと記憶している。今日では各劇場申合わせたように月初めに初日を出すことになっているが、その頃は中旬でも月末でも一向無頓着で、思い思いに開場するのが習いであった。畢竟は一年の興行度数が少ないためであったらしい。今日のように毎月殆んど欠かさずに開場するならば、どうしても月初めに初日を出すことにしなければならないが、一年四、五回か三、四回の興行であれば、初日はいつでも構わないということにもなる。初日が月初めと決められたのは大正以来のことである。
その初日から三日目に、各新聞社の劇評家が例によって招待された。わたしは初日に見物したので、当日は居合わせなかったが、狂言は一番目が桜痴居士作の「大久保彦左衛門」、中幕は「日向島の景清」で、一番目の方には何事もなかったが、中幕になってから西桟敷の劇評家連がひどく騒ぎ出した。この景清は従来のものに余ほど修正を加えて――誰が修正したか知らないが、恐らく桜痴居士であろう――景清が最後まで眼を明かないことになっているばかりか、きょうは小松内府の命日というので、その位牌などを持出して長台詞のくだりがある。