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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
人前の天ぷらでは足りない。急に電話をかけて追い足しを註文したが、なかなか持って来ない。ふたりは焦れ込んで、すっぽろ飯を茶漬にして嚥み込んでしまったことがある。松居君もわたしもその後間もなく中央新聞社を去ることになったので、再び天金を一緒に食う機会をうしなったが、一つの桟敷で芝居の弁当を食うことはその後も長くつづいていた。
松居君の話から更に思い出したのは劇談会のことである。これは主として長田秋濤君の斡旋で成立したらしく、西園寺侯を主賓として、福地桜痴、末松青萍、尾崎紅葉、高山樗牛の四氏、ほかに松居君と榎本虎彦君とわたしの三人が加えられた。勿論、はじめに挙げた五人を会合させるのが目的で、松居君は長田君をよく識っていた関係からその一人に加えられたらしく、榎本君とわたしとは何か書き留めてでも置くような必要が起こった場合には、その執筆を申付けるつもりで、一種の書記兼帯に狩り出されたらしかった。その第一回は二十八年二月はじめの月の明るい夜で、場所は芝公園の紅葉館であった。
定刻までに顔ぶれは揃って、長田君が如才なく席上の斡旋をしていたが、別にこうといって取留めたこともなかった。