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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
ばかりで押し通していた。
この興行で俄かに名声をあげたのは高田実であった。高田は初めて川上の一座に加入した当時、脚本は俳優が作るものだと考えていたほどに、芝居については無知な人物であったそうであるが、三、四年のあいだにめきめきと上達して、殊に今度の「威海衛陥落」における丁汝昌の役は大好評であった。かれは昨年の「日清戦争」でも李鴻章をつとめて好評であったが、不思議にシナ人の悠揚迫らざる態度がその芸風に適して、今度の丁汝昌は書生芝居の団十郎であるとまでに賞讃された。かれはその以来、一躍して書生芝居の大立者になったのであった。
川上は勝に乗って、七月に第二回の興行をこころみ、中幕には桜痴居士新作の「大江山」を上演したが、これは不評に終ったらしい。それにしても、歌舞伎座の舞台を二度までも踏んだということが彼らの立派な看板になって、いわゆる書生芝居の基礎もまったく固まったのである。書生芝居が新派となって今日の地位を占めるようになったのは、もとより一人の力ではない。まえに言った藤沢や、高田や、伊井蓉峰や、河合武雄や、喜多村緑郎や、そのほかにも幾多の功労者のあることは争われない事実であるが、なんといっても川上音二郎を第一の元勲に推さなければならない。