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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
第二は前にいう通りの狂言のならべ方で、東京側の俳優が殆んどその全部を受持ち、大阪方の俳優はわずかにその一部分を受持つに過ぎなかったということが、土地の贔屓連の感情を傷つけ、それに対して何かと悪声を放ったのが自然一般の人気にも影響したためであるという。
実際、興行者としては高い費用を払って団十郎一座をまねき寄せて、それでひと勝負するつもりであるから、東京側に十分の花を持たせて、それを売り物にしようと企てるのは当然のことである。大阪方でもその意を諒し、また一面には謙虚のこころを以て名優に相当の敬意を表するという用意もあるべきであったが、土地の贔屓連は勿論、出勤俳優のうちにも東京側に対して甚だしい反感をいだいて、「忠臣蔵」の狂言に出演しても、自分は舞台の上で決して団十郎と顔をあわせぬなどと邪々張るものさえ現われて来るという始末であったから、いい成績のあがらないのも無理はなかった。しかし、それらの色眼鏡を取りはずして見物した人々は、さすがに日本一の団十郎であると驚嘆して、みな口々にその伎倆の卓抜なるを讃美した。要するに、団十郎は芸において勝ち、興行において敗れたので、その不成績は芸術家としての彼の面目を傷つけたものではなかった。