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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁

青空文庫

かれは一面には非常に丁寧な、一面にはまた皮肉のような口吻で、かの脚本をわたしたちの前にならべて、その四、五カ所について、ここはこれで宜しいのでしょうかという質問を発した。かれの意は、これで芝居になるかというにあることは、わたしたちにもよく察しられたが、わたしたちは素知らぬ顔をして、それで宜しいと皆んな答えた。すると、かれは最後にこういうことを言い出した。この脚本の第三幕を全部かき直してくれというのである。

第三幕は岡君の受持ちで、金助が凧に乗って鯱の鱗をぬすむくだりである。なまじいに写実にかいては面白くないというので、一種の浄瑠璃物のような形式を取って、この一幕は常磐津を用いてある。しかるに今度の興行には常磐津を使わないことにしたから、これを長唄に書き直してくれと言うのである。かれは念を押して、どうぞ長唄で歌えるように全部書きかえてくださいと皮肉らしく言った。かれの意は、おまえたちに常磐津と長唄とが書き分けられるかというにあることも、私たちに察しられた。しかも彼は、大急ぎですから直ぐにここで書いて下さいと言った。なるほど常磐津と長唄とは違っている。