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めいじげきだん ランプのもとにて

明治劇談 ランプの下にて

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁

青空文庫

菊五郎自身もどうにか滞りなく舞台に出ているというだけのことで、ふだんの活気はまったく見られなかった。

その後、団十郎は引きつづき休場していた。菊五郎も休んでいた。そうして、その年の歌舞伎座十月興行には団菊の顔あわせがほんとうの久しぶりで実現されることになった。その一番目は「那智滝祈誓文覚」で、団十郎の遠藤盛遠、菊五郎の渡辺亘、芝翫の袈裟御前。中幕は「逆櫓」で、団十郎の樋口、芝翫のお筆、市蔵の権四郎、八百蔵の重忠、女寅のおよし。二番目は「文七元結」で、菊五郎の左官屋長兵衛、栄三郎の女房、丑之助の娘、家橘の手代文七という役割であったが、事実においてこれが団菊として掉尾の一振であったらしく、両優ともに予想以上に活躍して、これではまだ当分は舞台上の命脈があるらしいというのが一般の評判で、好劇家もやや意を強くしたのであった。無論に役々好評で、この興行は大入りを占めた。その時の入場料は桟敷一間八円八十銭、高土間一間七円七十銭、平土間一間六円七十銭で、別に一間について敷物代五十銭を取った。

この大あたりに味をしめて、歌舞伎座では矢継ぎ早に十一月興行の蓋をあけた。