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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
後に思うと、前者はエインス・ウォルスの小説「ウィンゾル・キャストル」で、後者は例の「ハムレット」であったらしい。そんなわけで、わたしの幼稚な頭は芝居と怪談とで埋められてしまった。明治十七年の十月、市村座で五代目菊五郎が「四谷怪談」を上演した時、わたしはお化けの芝居というものを見たいがために、一緒に連れて行ってくれと母にせがんだが、子供の観る芝居ではないといって、やはり留守番をさせられた。
その頃のわたしを喜ばせたのは、絵双紙屋の店先であった。絵双紙屋というものは今ではまったく亡びてしまったが、小説類の小売店は即ち絵双紙屋で、その名のごとくに絵双紙を売る傍らに小説類や浄瑠璃の稽古本を売っていたのである。したがって、絵双紙の方が主であるから、どこの店にも一枚絵、二枚続き、または三枚続きの錦絵を始めとして、子供のおもちゃ絵や千代紙のたぐいが店一ぱいに懸けられてあった。おもちゃ絵や千代紙は一枚八厘か一銭であるが、錦絵の二枚つづきは一組五銭、七、八銭、十銭ぐらいで、武者絵や風俗絵や、新聞記事を材料とした際物や、その種類はもちろん一様でなかったが、錦絵の中で最も光彩を放っているのはやはり芝居の似顔絵で、各座の狂言の替るたびに必ず二種や三種の三枚続きが出版された。