輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
麹町の大通りから三番町の大通りに通ずる表通りは、さすがに人家も建てつづいていたが、往来から少しく引っ込んだわたしの家の周囲は一面の草原で、兎が出る、蛇が出る、狐も鳴くというような荒涼たる光景であった。わたしの家の裏から出てゆく露地の入口に、むかしは山の井という駕籠屋で、今はおかみさんが女髪結をしている家の奥の間を借りている、定さんという板木屋の職人があった。その筋むこうに靴屋の平ちゃんというのがあった。この人たちが芝居好きで、時々に寄りあつまって、茶番をする、芝居をする。わたしも面白がって観に行った。わたしはこの人たちによって、不完全ながらも「鞘当」や、「熊谷陣屋」や、「勘平の腹切」や、劇に関するいろいろの知識を幼い頭脳に吹き込まれた。
そのほかに直接間接に劇の趣味を涵養してくれたのは、かの定さんの借りている女髪結の家の娘が常磐津を習っていることであった。親も商売人に仕立てるつもりで、後に家元の名取りになった位であるから、その稽古は頗るきびしい。殆んど朝から晩まで浚いつづけていると言っても好いくらいで、わたしが裏口からその露地を出るたびに、かならず常磐津のお稽古を聴かされる。