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めいじげきだん ランプのもとにて
明治劇談 ランプの下にて
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《明治劇談 ランプの下にて(めいじげきだん ランプのもとにて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 167,283 字 · 329 頁
「船弁慶」と「夢物語」
どう考えても、わたしは鳥熊氏に感謝しなければならないのである。そのうちに彼の鳥熊は帰阪したらしく、一座俳優の大部分は離散して、福之丞は団十郎の門に入って市川女寅となり、駒三郎も団十郎の門に入って市川宗三郎となり、鯉之丞は菊五郎の門に入って尾上梅三となった。なかんずく、福之丞の女寅は団十郎門下で唯一人の女形として漸次にその位地を進め、後に市川門之助となったのである。その後の春木座は溝口権三郎という人が経営することになって、俳優の顔触れも興行の方法もまったく鳥熊一派を離れてしまった。
「船弁慶」と「夢物語」
鳥熊時代にわたしは勿論、他の劇場へも見物に行った。鳥熊の春木座は自分の小遣い銭で見物に出かけたのであるが、他の劇場も腰巾着の機会さえあれば、わたしは誰にでも付いて行くことを怠らなかった。
明治十八年の十一月、新富座は大修繕落成の開場祝いとして、その初日の二十四日に種々の人を招待した。わたしの家でもその招待を受けたので、わたしは母に連れられて親類の人たちと一緒にゆくと、芝居はおそく始まって、ゆう飯には強飯の折詰をくれた。強飯の折詰といっても、今日の百貨店の食堂で売っているような安っぽい物ではなく、飯と菜とは別々の二重箱になっていて、なかなか旨い料理が沢山に詰め込んであったことを記憶している。