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しゅんでい
春泥・三の酉
久保田 万太郎
線上閱讀久保田 万太郎《春泥・三の酉(しゅんでい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 頁
――勿論、そうはいっても、西巻は会社を信じ師匠を信じていた。よしそんなことがあったにしろ、そのために、いまさらその位なことのために自分たちの一座がどんなことになる。――そんなことは、たとえば小倉や三浦のいうような、そんな惨めな、縁喜でもないことは毛ほども西巻にはおもいつけなかった。師匠と会社との間はそんなものじゃァない、自分たちの一座と会社との関係はそんな生優しいものじゃァない、随分、これまで、会社のためになっている師匠なり自分たちの一座なりだ。会社にしたってよくそれを知っている。……だからその心配するところは、正月東京で芝居が出来るかどうかということである、十一月無理を通しているだけ、ことによると竹箆返しに、大きに春は名古屋へでもやられるかも知れない。春匆々しかし地方は有難くない。――そうした、ぞんきな、一トすじな料簡をもつことにおいて西巻はかれより二十幾つも若い田代と相如くものがあった。
というのも畢竟、西巻は、同じ師匠のうちのものになっていても、小倉や三浦、死んだ吾妻なんぞとはそも/\の育ち……役者としてのそも/\の育ちが違っていた。そのあるいて来た道がまるで違っていた。