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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

内裏炎上

むしろ義貞の小心を見すかされよう。狼狽したといわれても末代までの恥だ。そっくり残しておけ、との御意。わたくしどもへも、しかとお命じで、そのままお立ち去りあったような次第にござりまする」

「そうか。……川守どもに褒美をやれ」

そして、尊氏はそれから言った。感に打たれている麾下の将士を見て。

「さすがは義貞よ。逃げつつも見事な一矢のあいさつを残して行った。武士はこうありたいもの。彼にかかる鎌倉武士の余香があろうとは思わなかった。尊氏もここでは見事彼に負けたぞ。好敵手、好敵手。いちばい心をひきしめようわい」

途中、さらに軍の強化に努めながら、やがて足利軍は、近江へ達した。近江柏原に軍営を張り、年の終りをここにみた。――すでに十二月二十九日であった。

内裏炎上

何を感じるのだろう、痩せ犬すらも目を光らしてどこかに異常なふうである。ちまたの人間はいうまでもない、都じゅうが日ごろの姿一切を喪失し――春を待つ――そんな年暮景色など見たくとも見られなかった。

敗軍の新田勢が洛内にぞろぞろたどりついて来たのが二十五、六日のこと。それからは一日たりと兵馬の東奔西走を見ぬ日はない。