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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁
だからその意味で、南北二朝に別れた最初の年だ。
その年の始め。
一月元旦というのに瀬田ノ大橋では戦争の支度だった。いやその防禦工事中も、しばしば敵陣からの奇襲におびえ、どこかではもう不吉な年の前ぶれに似て、魔の声みたいな矢うなりが虚空の冬を引き裂いていた。その配備は、
瀬田方面、三千騎 総大将 千種ノ中将忠顕、名和伯耆守長年、結城の判官親光
宇治方面、五千騎 楠木左衛門尉正成
淀方面、一万騎 新田右衛門佐義貞
山崎方面、七千騎 脇屋駿河守義助
遊軍、山徒の僧兵千余人 延暦寺ノ僧、道場坊宥覚
ほかに若干の舟軍がある。――舟軍は琵琶湖上を遊弋していた。
この兵力と配置でもよくわかるのは、義貞の敗報いたるや、いかに今はと朝廷もあわてたかということである。在京の地方軍はもちろんのこと、公卿指揮者、滝口の兵、叡山の僧兵までをあげて都門の東西にそそぎこみ、
「万が一にも、ここにやぶれなば」
と、廟議としては、じつに稀有な即決と、また一大覚悟のもとに、これの布陣となった経過がありありわかる。何しろ元日、これはただならぬ元日だった。
由来、洛内攻めには、いつも近江路と大津の中間、瀬田川の瀬田ノ大橋、また宇治川が、攻守決戦の境になる。