輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(七)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 頁

青空文庫

――この春、時親の河内の旧居においてあった蔵書一切を荷駄にして、大江へ送りとどけたときから、いちどお会いして、その高説を伺いたいものと思っていたが、つい今日まで折なく過ぎていたものだった。

「……これが、老師とのお別れになろうもしれぬ」

正季には、今生の別辞をつげたい心もある。

なおまた、この一期にたいする覚悟や兵学上の意見も問いたい。

まだ世もこんな兵塵とならないうちに今日あることを予言していた人だった。そして山荘へ集まり寄る若者たちに、来るべき兵革を説いて、心の武装を植えつけていた時親でもある。かならずここにいても、大勢を観望しながら、わけて尊氏の東上を前にしては、卓抜な戦略なども持っているにちがいない。――正季は、明日の戦いのためにと、急に思い立って来たのだった。

けれど、彼の希いは、むなしいものとやがてわかった。――案内の天見ノ五郎と俊秀とが、

「ここですが」

と、一見ただの山家にすぎない垣の枝折を指さしたが、内には人の気配もなく、そこから呼んでも叩いてみても、おうという答えはなかった。

するうちに、かさこそと、藪隣りのあばら家から、一媼が出て来て「この庵のあるじなら、とうにもう、ここにおいでられませぬ」